2011/04/06 (水)

歯みがきと誤嚥性肺炎

東日本大震災により被害を受けられた方には心よりお見舞い申し上げます。被災地では地震や津波の被害を受け、多くの方が避難所生活をおくられています。以前の生活を取り戻すにはかなりの時間が必要になりそうです。普段、当たり前のように行っていることでも、こうした非常事態の中ではそれを行うのが難しくなることがいくつもあります。その一つが歯みがきです。

被災直後はライフラインがすべてとまってしまい、水不足が深刻な問題の一つとなりました。水道が使えないため、避難所で配られるペットボトルなどの水は被災者にとってたいへん貴重な存在です。配られた水を歯みがき用の水に使うことをもったいないと考える人がいても当然だと思います。

1995年の阪神大震災では、震災後に肺炎で命を落とされた方が多数いらっしゃいました。避難所の生活では水が不足し十分な歯みがきができず、口の中の細菌が肺に入って「誤嚥(ごえん)性肺炎」をおこした高齢者の方がたくさんいらっしゃいました。

口の中には様々な種類の細菌が住んでいますが、病気や加齢などが原因で飲み込む機能が低下すると、口の中の細菌や逆流した胃液が気管に入ってしまい、誤嚥性肺炎を引き起こしてしまいます。高齢者にとっては命にかかわるような深刻な状況に繋がってしまいます。

誤嚥性肺炎を予防するためには、食べたり飲み込んだりする機能を回復させることが大切です。そして、歯みがきなどの口腔ケアをしっかり行い、口の中を清潔に保ち細菌を減らすことを心がける必要があります。

普段、私たちが当たり前のように行っている歯みがきですが、むし歯の予防だけではなく、お口の中の細菌をコントロールする大切な役割を果たしています。いつも通りの日常生活がおくれることに感謝し、歯みがきの大切さを再認識させられました。

<2011年4月6日更新>

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