2011/06/01 (水)

転ばぬ先のかみ合わせ?

前もって用心していれば失敗することがないという意味で、「転ばぬ先の杖」ということわざがありますが、お口の中の健康を考えると、「転ばぬ先のかみ合わせ」と言っていいかもしれません。

5月18日付の中国新聞によると、広島市総合リハビリテーションセンター(安佐南区)歯科が認知症の高齢者の方を対象に、かみ合わせと転倒の関係について調査結果を発表しました。広島市内の病院に入院し自力で歩ける認知症の高齢者146人の方を対象に、奥歯のかみ合わせの有無と過去1年間の転倒回数の相関を調査し、転倒した回数を「2回以上」「1回以下」に分類しました。

かみ合わせができないグループ(50人)で年2回以上転倒した人は54%と過半数に達したそうです。自分の歯でかみ合わせができるグループ(27人)と、入れ歯でかみ合わせができるグループ(69人)はいずれも年2回以上転倒した人の割合は14%台で、年1回以下が8割強を占めました。また、かみ合わせできなくて転倒回数が多い17人に入れ歯治療をして1年間追跡調査したところ、13人(76・5%)の転倒回数が減少したそうです。他は増加、同数が各2人いました。

歯のかみ合わせは高齢者の方の転倒に影響があるだけではなく、全身のバランスに繋がっていて、腰痛、頭痛、耳鳴り、肩こりなど、噛み合わせ異常は身体に様々な影響を及ぼします。顎を動かした時にカクンと音がする方や、慢性的な肩や首のこり・耳鳴りなどの症状が気になっている方は、かみ合わせの異常を疑ってみてもいいかもしれません。

むし歯を放置されている方は、歯の痛みが原因で無意識のうちに痛くない顎の位置にずらしてかむようになってしまいます。長く続くとそのかみ方に慣れてしまい、顎の筋肉や骨に負担が掛かり顎関節症にまで発展してしまうケースもあります。また、むし歯の治療などで歯を抜いてそのままにしていたりしても、かみ合わせの異常につながります。

かみ合わせの異常を防止するためには、左右同じバランスで良くかんで食べることを意識して、頬杖をついたりして顎に負担がかからないようにすることが大切です。かみ合わせのバランスが少し崩れるだけで様々な症状が現れることがあります。心当たりのある方は一度かみ合わせをチェックすることをお勧めします。お口の健康を考えると、「転ばぬ先のかみ合わせ」なのかもしれません。

<2011年6月1日更新>

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