2011/08/31 (水)

ネズミと妖精

子供の歯が丈夫に育つようにと願いを込めて、「上の乳歯を床下へ、下の乳歯を屋根上へ投げる」というおまじないを経験されている方は少なくなっているかもしれません。昔は、「ネズミの歯のように強くなーれ!」とか「ネズミの歯と変われ!」といった願いをかけて乳歯を投げたおまじないがありました。

ネズミは一生伸び続ける前歯をもつため、常に何か硬いものをかじって前歯をすり減らす習性があります。硬いものをかじらないままでいると、伸びた前歯が口をふさいだ状態になり食べ物を口の中に入れられなくなって餓死してしまうそうです。ネズミは夜行性で、人間が寝ている間に人間の食糧などを食べたりするので、寝盗み(寝ている間にこっそり人間の食糧を盗む)が転じてネズミという名前がついたという言い伝えがあるそうです。

何かをかじり続けないと餓死してしまう宿命にあるネズミは、昔から人間に嫌われていますが、日本では歯の強さだけはネズミにあやかりたいという習慣があったようです。欧米では子供の乳歯が抜けたときに登場するのは妖精です。抜けた乳歯を枕下に置いて寝ると、歯の妖精「トゥース・フェアリー」がその抜けた乳歯を集めに来て、代わりにコインを置いていくという言い伝えがあるそうです。妖精は、きれいな乳歯しか持って行ってくれないということですから、むし歯予防のための子供への戒めになっています。

子供の歯をネズミや妖精が本当に守ってくれるかどうかわかりませんが、乳歯が抜けた後に生えてくる大人の歯を失うと今度は取り返しがつきません。失った後にいくらネズミのように強い歯になるように願ってみても歯は生えてきませんし、世界中のどこにも抜けた大人の歯をコインに替えてくれる妖精も聞いたことがありません。時代が変わっても子供の歯を守るために正しい歯みがきと、定期検診の大切さを教えていくのが大人の役目であることに変わりはありません。

(参照:日本歯科医師会ホームページ)

<2011年8月31日更新>

お問い合わせ

ご来院に際してご不明な点などございましたら、
どうぞお気軽にお問い合わせください。
【受付時間】9:30~13:00 / 15:00~19:30