2014/09/01 (月)

「ねずみの歯のように強くなーれ!」はもう古い?

子供の乳歯が抜けると、次に生えてくる歯が丈夫に育つようにと願いを込めて、「ねずみの歯のように強くなーれ!」と言って、床下や屋根上に抜けた歯を投げるおまじないがありましたが、これからは抜けた歯を冷蔵保存する時代になるかもしれません?

歯の神経である歯髄から取り出す幹細胞が、脳梗塞や脊髄損傷などの治療に役立つ可能性があるということで研究が進んでいます。歯髄細胞の活用方法で最も期待されているのが、交通事故やスポーツ事故などで起こる脊髄損傷です。脊髄損傷の治療には、今のところは有効な治療法がないと言われていますが、歯髄細胞バンクによれば、歯髄細胞を利用した再生治療が、「早ければ3~5年後に実用化できる」可能性があるということです。

再生治療と聞けば、骨髄バンクや臍帯血バンクのイメージがあると思いますが、骨髄の採取は体への負担が大きく、臍帯血は出産のときしか採取できません。また、組織が一致しないと再生治療を行うことができないのですが、兄弟間でも一致する確率は25%程度と言われています。ところが、自分の歯髄細胞から取り出した幹細胞を活用することができれば、将来、自分が脳梗塞や脊髄損傷になったときに、自分自身の治療に使えるかもしれないということなのです。

現在、歯髄細胞バンクを利用するには、登録料や細胞培養料など、10年間で30万円程度かかるそうです。乳歯や親知らずなどの抜けた歯ならどんな歯でもいいというわけではなく、乳歯でも虫歯がある歯や、親知らずは細胞が若いと言われていますが、虫歯で神経が傷んでいる歯は使えないようです。

昔は子供の乳歯が抜けると丈夫な歯が育つように、「ねずみの歯のように強くなーれ!」と床下や屋根上に抜けた歯を投げさせていたかもしれませんが、これからは、子供が将来病気をしたときに備えるために、抜けた歯を歯髄細胞バンクに預ける時代がくるかもしれませんね。

参照:日本経済新聞ホームページ

<2014年9月1日更新>

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