2015/12/01 (火)

受動喫煙が子どもの虫歯を2倍に!

受動喫煙が子どもに悪い影響を与えることは、なんとなく誰でも知っていると思いますが、この度、受動喫煙が子どものむし歯に影響を与えるという研究結果が報告されています。京都大学の川上浩司教授と田中司朗准教授らの研究チームによると、家族の吸うたばこの煙にさらされた子どもは、家族に喫煙者がいない子どもに比べて、3歳までに虫歯になる可能性が2倍になったとの研究結果を発表しています。

この研究は、神戸市で2004年から2010年に生まれた7万6920人のデータを解析し、生後4カ月での受動喫煙の状況と、3歳時点で1本以上のむし歯や歯の欠損、治療歴があるかどうかを調査しています。その結果、家族に喫煙者がいる子どもは全体の55.3%の割合で、家族に喫煙者がいない子どもに比べてむし歯なる可能性が1.46倍になっています。特に、面前で吸われる環境にあった子どもでは2.14倍という高い数値になっています。これまでの研究結果では、受動喫煙によって唾液の成分が変化し、むし歯の原因菌が集まって歯垢やむし歯ができやすくなる可能性が示されているようです。

もちろん、むし歯以外にも受動喫煙によって子どもに深刻な影響を与える可能性があると言われています。子どもの鼻、耳、のどなどの空気の通り道にタバコの煙の悪影響が出やすく、中耳炎、気管支炎、肺の感染症や肺機能の低下などがおこることが知られています。また、直接タバコの煙が触れなくても、脳の働きにもさまざまな影響があると言われ、言語能力が低かったり、注意力が散漫だったりする傾向が報告されています。

家庭内でベランダや換気扇の前でタバコを吸っているからといって大丈夫だとは言えません。タバコを吸い終わった直後は、口や肺に煙が残っているため、十分な時間が経つ前に子どものそばに近寄らない方が安心です。WHO(世界保健機関)のガイドラインでは、「屋内完全禁煙」を定めていますが、日本では「分煙」の取り組みが始められたばかりで、「屋内完全禁煙」には程遠い状況です。飲食店ではタバコの煙が流れてこない個室を利用したり、「全館完全禁煙」の施設を利用するなどして、子どもをタバコの煙に近づけないように意識することが大切です。

歯の健康を守るだけでなく、さまざまな悪影響から子どもを守るために、タバコの煙には十分に注意する必要があります。タバコの煙に対して無防備な子どもを守るために、もう一度、受動喫煙の危険性について考えてみてはいかがでしょうか。

参照:日本経済新聞 ホームページ
   ファイザー ホームページ

<2015年12月1日更新>

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